初期型”S”無しの5群6枚
おすすめ度
購入のしやすさ 2/10
非常に珍しいレンズではありませんが、流通量が少なく見つけるのに少し骨が折れます。L39の TOPCOR 50mm F2は、近年価格が高騰し、2025年現在では2万円程度と数年前の倍近くになっています。その多くが、1957年以降に販売された、4群6枚の”S”付きの個体です。5群6枚の”S”無しは、それよりもやや高値で取引されています。
使いやすさ 9/10
実測228gは、長さ(最短)39mm・最大径48mmの小型レンズの割は、ずっしりと感じます。しかし、デジタルカメラにマウントアダプター経由で装着すると、重すぎると感じること無く使用できます。ピントの山はつかみやすく、合焦操作も行いやすいレンズです。一方、最短撮影距離3.5 Feet(1m)は、さすがに長すぎます。ヘリコイド付きマウントアダプターの使用が賢明です。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
切れるようなシャープさや、くっきりとしたコントラストを描いたりしませんが、絞り込むと非常に良く写るレンズです。これは、UV TOPCORにも共通する、東京光学の製品哲学なのでしょうか。当然に逆光ではフレア&ゴーストが発生しますが、モノコーティングかそれ以上のコーティングが施されていそうです。開放では、やや周辺光量落ちが見られます。さらに、合焦面よりも近景で、ぐるぐるボケが発生します。絞るとシャープな像になります。
総合 4/10
現在の市場価格が高すぎます。東京光学ファンでない限り、おすすめできません。しかし、非常に扱いやすく、希少性があるレンズであることには変わりがありません。もし、運良く、価格の安い個体を見つけられれば、是非とも手に取ってください。
このモデルと個体
東京光学のレンジファインダーカメラ、Leotax(おそらくLeotax F)用に、1954年に開発されたレンズです。Leotax Fが当時国産で多く見られたLeica (III)のコピーであったことを考えれば、このレンズの外観や、L39マウントを採用した点も納得がいきます。LENS-DB.comによると、レンズ構成は5群6枚の変形ダブルガウス型です。1957年に販売された”S”付きは、4群6枚のダブルガウス型ですので、それとは光学設計が異なります。10枚絞りは星形にならず、10角形から円形を保ちます。
撮影準備
このレンズはL39マウントになります。最短撮影距離を延長するため、L39-LMプレートでLMマウント化してマイクロヘリコイド付きLM-NEXマウントアダプターを用います。
撮影(作例)
絞り込むと、十分によく写ります。
開放での遠景はぐるぐるボケが出そうですが、辛うじて耐えています。
むしろ前ボケが、暴れます。
開放では、若干の周辺光量落ちが現れます。
斜光から、派手にゴースト&フレアが発生します。
“S”無しだからといって、決して逆光に弱い訳ではありません。何らかのコーティングは施されています。
ありがとうございました。