HAHN-GOERZ Frontar 110mm F9

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安価なGOERZ謹製の単玉は、濃厚なクセ玉

おすすめ度

購入のしやすさ 8/10

GOERZ製品の中でも安価なモデルに搭載されたFrontarレンズは、中古市場でも安価に見つけることは容易です。

使いやすさ 4/10

  • フランジバック調整が必要です。
  • 今回のFrontarユニットにはヘリコイドが備わっておらず、何らかのヘリコイド機構が必要です。
  • 開放F9は日中の屋外では気になりませんが、やはり暗いレンズです。
  • 開放F9が関わっているのかそうでないのか定かではありませんが、ピントの山を見分けるのはかなり困難です。
  • シャッターユニットを含めたレンズは小型・軽量です。マウントアダプターも小型です。気軽に持ち出せるレンズです。
  • 耐逆光性能はある程度確保出来ますが、フードは必須でしょう。

現代レンズと比較した描写の独自性 9/10

Frontarの構成図を知らずに手にしたとき、衝撃を受けました。1群なのに、絞りがレンズ後方に設置されている点。なのに、耐逆光性能がある程度確保されている点。そしてなによりも、想像以上に写る点です。もしかすると、DAGORの前ユニットのみの使用かと思いましたが、1群3枚ではなく、1群2枚であることを知って驚愕しました。六櫻社 Pearlette 75mm f8よりも遙かに濃厚な色になります。まるで、DAGORDOGMARの様なGOERZらしい色です。

そうはいっても、解像力は低く、Tessar型の足下にも及びません(加点ポイント)。
当然ながら滲みもでます(加点ポイント)。この時代のレンズにありがちな、5m以上の遠景はさらに解像度が落ちます(加点ポイント)。
二線ボケも派手に発生します(加点ポイント)。

これらを楽しめれるのであれば、代替がない貴重なレンズだと思います。

総合 6/10 (8/10)

マウントアダプターを用意できるかどうかは重要です。ですので、万人におすすめ出来ませんので評価6/10とします。マウントアダプターが用意できれば、濃厚なクセと、GOERZのこってりとした色のりを楽しめる、楽しい1本になると思います(8/10)。

このモデル

この個体はTENAX FOLDING CAMERAのシャッターレンズユニットを取り外した物です。レンズ表記はGoerz BERLINではなく、Hahn-Goerzの記載がなされています。Zeiss Ikon合併前のHahn für Optik und Mechanik社との提携関係にあった1910~1926年頃の製品のようです。 無一居さんの記事の断片から、Frontarは1群2枚の色消しレンズです。これは、比較的安価な普及機に取り付けられていた物だった様です。名前の通りレンズが絞りの前側に設置されていますが、色消しレンズ(単玉)の多くは、Vest Pocket Kodak等に代表されるように、レンズユニットが絞り・シャッターの後に配置されるのが定石だと思います。Frontarの名前通り、敢えて前に配置した真意は不明ですが、普通の色消しレンズ(単玉)では無い、変わった写りが見られるのでしょうか。

撮影準備

マウントアダプター(フランジバック調整)

M42にフランジバックを調整します。48mmの延長を行い、無限遠が出るようにしました。

Base

Tube

Rear Cap

Front Cap

Hood

3Dプリンターで出力品はのフィラメントはOVERTURE PLA Plus (PLA+)を用いました。

内面処理

3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラックの塗布を行いました。

この塗布には、筆を用いるよりもキムワイプか、ケイドライが向いていると思います。

ヘリコイド付きマウントアダプター

これで、無限遠~最短50cmほどまで合います。

撮影(作例)

光は滲みます。収差の嵐です。

GOERZらしい、しっかりとした濃い色のりが特徴です。

派手に二線ボケが発生します。

5m以上離れると、酷い像になってしまします。正確には合焦が非常に困難です。

ピントの山が分かりにくく、合わせるのが本当に困難です。

近接では、時々驚くような描写を披露してくれます。

ありがとうございました。

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