Petzval型のぐるぐるボケ

おすすめ度
購入のしやすさ 7/10
LOMO P-5はプロジェクターレンズで、かつミラーレスカメラで使用しても扱いにくいため、eBayでは、数千円で流通していました。ただし、近年は為替相場の変動もあり、高騰しています。
使いやすさ 1/10 (5/10)
オリジナルレンズ
- このレンズをミラーレスカメラで使用するための最大の障壁は、バックフォーカスの短さにあります。
- ヘリコイドや絞り調整機構がありません。
- プロジェクターレンズであり、絞り機構がありません。絞り機構を追加する方が望ましいです。
- オリジナル鏡筒が金属製で202gで、重いです。レンズと合わせる470gになります。
このマウントアダプターを作成後
- PLA素材で出力したため、レンズ・絞りユニットを含めた重量は350gです。
- 絞り値は分かりません。
- 絞り込むとボケは少なくなりますが、被写界深度はあまり増えません。
- 必要なヘリコイドはSONY Eマウントカメラのおいて、汎用性の高いものではありません。
- マウントアダプターのカメラ側径が大きいため、ヘリコイドはやや回しにくくなります。
- フードを使用しても、逆光には弱いです。
現代レンズと比較した描写の独自性 8/10
- ぐるぐるボケが発生して、幻想的になります。
- 線の太い描写です。
- 逆光では容易にフレアが発生します。
- 逆光では彩度の低い描写をしますが、順光ではこってりとした色のりになります。
総合 7/10
以下の条件を求めて、Petzval型のレンズを探しました。
-
- 3群4枚構成のPetzvalレンズ
- 安価であること
- イメージサークルが大きすぎないこと(ぐるぐるボケを出したい)
- 焦点距離が望遠過ぎない(4 inch 100mm 以下)
LOMOGRAPHYのNew Petzvalは、魅力的ですが、3群4枚のPetzval型レンズでは無さそうです。これらの条件からP-5 90mm F2を購入するに至りました。希少なPetzval型レンズで購入しやすい物ですが、使用にはややハードルが高いレンズです。
このモデル

RADOJUVAさんが、ソ連製プロジェクターレンズを詳しくまとめてくれています。これによると、LOMOのPシーリーズレンズは、35mm スライドプロジェクター用のレンズだそうです。
- P-4 90mm~150mm; F2で、LOMO(またはGOMZ)が製造した古いモデル。コーティングがある物も、無コートの物もある。
- P-5 90~180mm; F2で、コーティングあり。
- P-6、P-6m ; コーティングあり F1.6。
P-5 90mmは、3群4枚のPetzval式です。金属の大きな鏡筒(直系62.5mm)に、前群(2枚貼合)と後群(2枚の独立エレメント)が取り付けられています。絞りとピント調節機能は備えていません。
LOMOGRAPHY(LOMO社とは異なる)のNew PetzvalはPetzval描写の特徴ををオマージュした、全く別構成レンズです。
撮影準備
このマウントアダプターの難しさ
- ピント調節機構がありません。何らかの形で、ピント調節機構を付与する必要があります。
- 最も使用を困難とするのが、バックフォーカスの短さ(43mm)です。SONY Eはフランジバック18mm (NIKON Zでも16mm)ですので、25mmの間に何らかの機構を付与する必要があります。
- 大型(Φ 62.5mm × 74.4 mm)です。
- 470gと重量があります。
- プロジェクターレンズであり、絞り機構がありません。絞り機構を追加する方が望ましいです。
マウントアダプターの設計
- 3Dプリンターでマウントアダプターを作製することを前提とすると、M42-NEX(プレート)の使用が前提になりそうです。

- これに、M42-M42 ヘリコイドアダプター(17-31mm)を連結させると、14mm移動させて、無限遠~1m未満で合焦させることが可能です。

- 僅か6mm(25mm-1mm-17mm ) で、Φ 62.5mmからΦ 42mmまで変化させる必要があります。積層式3Dプリンター出力では、サポート材が必須になります。
3Dプリンター出力 STLデーター

長さ72mmのBodyを用意しました。
ここの中央に、直系50mmの絞りユニットを挿入します。
それを、Stopperで押さえて、固定します。
前後のレンズをBodyに固定後に、Connectorで径をM42に変換します。
このことで、M42-M42 ヘリコイドアダプター(17-31mm)による合焦(∞~1m未満)が可能です。
逆光に弱いため、Lens Hoodを用意します。
また、Front Capも用意します。
Body、Stopper、Connector、Lens Hoodは下記内面処理を施しました。
内面処理
3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラック)の塗布を行いました。

この塗布には、筆を用いるよりも、キムワイプか、ケイドライが向いていると思います。

撮影(作例)


Petzval型レンズの特徴である、ぐるぐるボケが発生して、幻想的になります。

被写界深度は絞っても、浅めですが、線の太い描写です。


逆光では容易にフレアが発生します。




逆光では彩度の低い描写をしますが、順光ではこってりとした色のりになります。



ありがとうございました。

