小さくても、収差の少ない均整のとれた、優等生
おすすめ度
購入のしやすさ 6/10
焦点工房がComponon-SをMマウントに改良して販売していること等もあって、Componon自体が人気です。ヘリコイドを持たない、産業用レンズや引き延ばしレンズとしては、中古市場で高値になっています。
無印Compononであっても、流通量は少なめで、Componon-SやM-Compononは、かなり少なくなっています。
使いやすさ 6/10
- 軽量小型で、非常に取り回しに優れます。
- 独自のマウントアダプターを用意する必要があります。
- ヘリコイド機構を持たないため、ヘリコイド付きマウントアダプターが必要です。
- 耐逆光性能は考慮されていないため、フードの用意が必要です。
- 開放F値4を、暗いと評価するか、否か悩ましいところです。
現代レンズと比較した描写の独自性 2/10
シュナイダーブランドのダブルガウスです。近接用に設計されていたとしても優れた描写力です。
- 逆光耐性は弱く、フードを付けても、フレアが出ます。
- 開放でも、ぐるぐるボケはギリギリ出ない程度に調節されています。
- 開放では、やや柔らかさが残りますが、それでも写真用レンズの開放に比べると、明らかにシャープです。
- 絞り込むと、F8までシャープになります。
- F8では、明らかな14個角を持つ星形絞りになりますが、光源ボケは小さすぎて、円形に見えます。
- ダブルガウスらしさ等、特徴は上手い具合に消されています(換言すればよく写ります)。
総合 2/10
Schneiderのダブルガウス型の産業用(引き延ばし)レンズです。産業用(引き延ばし)レンズですので、開放F値は制限され、絞り込むと当然シャープに写ります。レンズの個性が無いことが最大の美徳とされる産業用(引き延ばし)レンズですので、優秀な写りを見せます。
無個性を追求して、上手くコントロールされたレンズです。この点で、独自性は非常に少ないレンズです。購入のしにくさ(流通量・価格)やマウントアダプターを用意する手間などを考慮すると、おすすめ出来る代物ではありません。
このモデル
CompononはSchneiderが産業用レンズに付ける名称の様ですが、特に検査用カメラ等にはM-CompononとComponon-Sが用いられている様です。Robert OToole氏のClose-up Photographyに提示されたSchneiderの説明図によれば、Componon(無印)は4群6枚のダブルガウス型です。それとは対照的に、M-CompononとComponon-Sはオルソメーター型のようです。
このComponon 50mm F4は、形状から産業用カメラというよりは、フィルムの引き延ばし用レンズであったのではないかと想像します。
撮影準備
3Dプリンター出力
Tube
高さ15.5mmのチューブで、カメラ側は、M39×1雄ネジを装着して、L39フランジバックに合わせました。これで無限遠が出ます。
Hood
はめ込み式のレンズフードとしました。
Front Cap
内面処理
3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラック)の塗布を行いました。
この塗布には、筆を用いるよりも、キムワイプか、ケイドライが向いていると思います。
ヘリコイド付きマウントアダプター
パターン1 L39-LM + LM-NEX(マイクロヘリコイド付き) :L39をLeica Mマウントに変換する方法
L39-LMは各種類ありますが、今回はどれを用いても変化がありません。
パターン2 M39-M42 + M42-M42(10-15mm)+M42-NEX(プレート) :M42ヘリコイドアダプターを用いる方法
パターン3 L39-LM + TECHART LM-EA9 :AF化する
パターン1と比較して、パターン2の方がフォーカスの調整範囲が大きく、微妙な調整も可能です。今回はパターン2を用います。
撮影(作例)
逆光耐性は弱く、フードを付けても、フレアが出ます。一方、目立つゴーストは現れません。
開放でも、ぐるぐるボケはギリギリ出ない程度に調節されています。
開放では、やや柔らかさが残りますが、それでも写真用レンズの開放に比べると、明らかにシャープです。
絞り込むと、F8までシャープになります。
ありがとうございました。