Ross Zeiss Anastigmat Ser III 148mm F7.2

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濃厚な色のりの古典鏡

おすすめ度

購入のしやすさ 4/10

Protarは、流通量が比較的あり、珍しいものではありません。そのため、Rossのレンズの中では安価に設定されています。

使いやすさ 3/10

ポジティブ評価要素

  • 古典レンズにしては、かなり軽量です。
  • ピント面は、非常にシャープです。
  • 収差が非常に少なく、また、35mmフルサイズセンサーではレンズの中心部を用いるためか、驚くような端正な写りになります。流石、ザイデルの五収差をなるべく排除し設計したと謳われるだけのことはあります。

ネガティブ評価要素

  • 市販のマウントアダプターが無いため、低く評価せざるを得ません。
  • 開放F値7.2は流石に暗いです。晴天屋外では何とか撮影できますが、室内や夜間は難しくなります。
  • ピントの山が分かりにくく、合焦作業が大変ですProtar VIIa No4とは明らかに真逆の傾向です)。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

濃厚な色で描写します(Protar VIIa No4と同じ)。線が太い描写です。合焦面は比較的シャープな像を結びますが、線は極太な描写です。古典レンズらしい描写です。合焦面から外れると、円形の点ボケが発生し、ボケて結像します(Protar VIIa No4と同じ)。こってりとした色のりは、一見DAGORと同様にも見えます。アンダーの階調も担保されています。バルサム状態の良くない、この個体の問題かも知れませんが、十分なフードを使用してもフレアが発生します。

総合 4/10

現代のミラーレス機に接続して使うことを前提と考えると(ピント面をシビアに考えると)、1~3m程度の近接撮影において、恐ろしくシャープな像を描きます。合焦面から離れると、癖の強い特徴的な描写です。悪いことに、ピントの山が大変なだらかで、正確な合焦面が見つけにくいため、ミラーレス機のEVFやモニターでは判断に苦慮します。(ピントがずれていても、合焦しているように見えてしまします。)たとえ、マウントアダプターを用意できるたとしても、このレンズを常用して使用するのは、かなり大変です。また、開放F値の暗さも、手持ちでの撮影を困難にします。

このモデルと個体

Zeissのライセンス下で、Rossが製造したProtar型で、Ser. Ⅲ r,a No4 F 7.2  。これはす。Camera Eccentricに掲載される1907年のZeissのカタログによると、2群4枚の構成です。Rokuoh-Shaさんによると、Zeiss Anastigmat SerⅢaは1891年から販売されているモデルです。

この個体はebayで英国の出品者から購入しました。鏡筒にSerial Numberが記されています。”No.1259 Ross London”と表記されています。これが、Rossの番号だとすると、Camera wikiから1840年代の製造ということになりますが、その詳細は不明です。

撮影準備

マウントアダプター(3Dプリンター出力)

M42フランジバックに合わせマウントアダプターを出力しました。このレンズにはヘリコイドがないため、回転式ヘリコイドを組み込みます。

Parts1

Parts2

Parts3

Parts4

フードキャップ(3Dプリンター出力)

Hood

Front Cap

Rear Cap

内面処理

3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラックの塗布を行いました。

この塗布には、筆を用いるよりもキムワイプか、ケイドライが向いていると思います。

M42-NEX(SONY Eマウント)アダプター

このアダプターをPixco M42-NEX ヘリコイド付きマウントアダプターに接続します。

撮影(作例)

濃厚な色のりを持ち味とします。

100年以上前のレンズとは思えないシャープさです。

ボケは少なくなります。

光源ボケは、小さな円になります。

ボケの少なさから、ピントが外れたショットも増えてしまいます。

このシャープさを得るには、デジタル一眼カメラが最適なシステムです。しかも、このレンズの暗さを考えると、ミラーレスでないと厳しいかも知れません。

フードの使用下でも、フレアが発生しやすくなります。

 

色々な要素から、高難易度なレンズです。

ありがとうございました。

 

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