霧中のような、緩い描写

おすすめ度
購入のしやすさ 3/10
元々業務用~セミプロ用だったレンズだのではないでしょうか。流通量自体は多くありません。しかし、特に大人気なレンズでもないため、高値で販売されている個体はすぐに見つけることが可能です。安価で状態の良い個体を探すには、少し骨が折れます。
使いやすさ 1/10
ソフトフォーカスで、合焦がなかなか難しいレンズです。特に太陽光下での、絞り開放撮影は至難の業です。しかし、開放~F5.6位までに、このレンズの旨味が濃縮されています。なかなか難しいレンズです。
高性能レンズと比較した描写の独自性 10/10
- 当然ですがソフトフォーカスで、緩い描写です。
- 色が滲みます。
- 収差が出過ぎて、EBCが効果を示しているのか不安になります。
- 開放での光源ボケは、独特な模様で美しくなります。
- F11で特殊絞りの影響を排除しても、緩い雰囲気です。
総合 3/10
かなり癖のあるレンズです。私は思い出補正で、ポジティブ評価が可能ですが・・・。普通に撮影しようとすると相当苦戦するレンズです。蓮根型プレート、ソフトフォーカスを演出する有名なレンズにRodenstockのImagonがありますが、Imagonは絞りリングを取り外して使えるのに対して、FUJINON SFは原則除去不能です。つまり、このレンズはシャープさを求めるならば、F11一択になります。これでは、実用性が乏しくなります。このレンズは、主に人工光源下での使用を前提としているのではないでしょうか。
モデル詳細

EBC FUJINON SF 85mm F4は、LENS-DB.comによれば、1975年~販売された4群4枚のエルノスター型レンズです。特徴的な蓮根型絞りによりソフトフォーカスになるレンズです。85mm F4というと、暗いレンズという印象があります。しかし、このレンズはエルノスターですので、F2.8 位の明るさは確保されているはずです。蓮根型固定絞りによりF4に制限されているということなのでしょう。

蓮根型絞りは、中心の大きな穴を除けば、3種の大きさの66穴で構成されています。このうち大きな穴は、12穴です。これとは別に六角形の可変絞りが動きます。F11の最大絞りで、蓮根プレートの影響は排除されます。
本来ならば、このプレートがない、素のエルノスターを味わいところです。
レンズのマウントはM42ですが、癖があります。
私は、このレンズのカタログ説明文を小学生の頃読んで、何で可変絞りと蓮根型絞りが干渉しないのか不思議に思った記憶があり、「フジのレンズといえば、この蓮根型絞り」の印象をずーっと持ち続けていました。
撮影準備
マウントアダプター
私は、「マウントアダプターは安い方が正義」と思っています。しかし、このレンズのマウントアダプターは、通常のM42ではなくマウントアダプターを選びます。
癖①(ピン押し)

このピンを押さないと、絞りが動きません。
マウントアダプターには受け皿(下図)が必要です。

癖②(マウント面の出っ張り)

絞りの位置をカメラ側に伝える突起が、マウント面に突出しています。これを無視して、マウント面が平坦なマウントアダプターを用いると、以下の問題が生じます。
- 無限遠が出ません
- 絞り制御環が動かなくなります
このためには、マウント面外周が数ミリ下がったM42マウントアダプターを使用する必要があります。

使用可能なM42マウントアダプター
上記の様に、このレンズのマウントはM42マウントでも、どんなマウントアダプターでも適合する訳では無い、かなり癖のあるマウントです。
対応マウントアダプターは、K&F一択です。

手元にK&F製が無かったため、以前入手した、適合可能なマウントアダプターを使用します。
撮影(作例)

当然ですがソフトフォーカスで、緩い描写です。

色が滲みます。


滲みが出過ぎて、EBC コーティングが効果を示しているのか不安になります。


上の拡大

開放での光源ボケは、独特な模様で美しくなります。




F11で固定絞りの影響を排除しても、緩い雰囲気です。



ありがとうございました


