低逆光耐性の広角オルソメター
おすすめ度
購入のしやすさ 4/10
日本国内流通量はある程度あり、レアなレンズではありません。その一方、流通価格は高値(3万円~)で推移しています。
使いやすさ 6/10
- 小型・軽量で取り回しが良いレンズです。
- 28mmは、現代の感覚でも使いやすい画角です。
- 開放F値3.5と暗めです。
- 最短撮影距離3 feet(90 cm)は長めです。
- 耐逆光性能は非常に低く、フレア&ゴーストが派手にあらわれます。
- 開放では、被写界深度は(28mm&F3.5にしては)浅めです。
現代レンズと比較した描写の独自性 7/10
- 開放では、周辺減光が激しくあらわれます。
- F8まで絞り込んでも、周辺光量落ちは残ります。
- 開放では、周辺部の解像は、かなり甘くなります。
- 逆光では、フレア&ゴーストが派手にあらわれます。
- 低シャープネスで、色のりは悪い描写になります。
総合 7/10
希少な広角オルソメター型ですので、高価な流通価格は妥当だと思います。NIKONには珍しい、オールドレンズらしいエラーがちゃんと残っている描写です。
このモデル
LENS-DB.comによれば、1952年に販売された、4群6枚のオルソメター型です。同じ構成のL39マウントレンズが、ニッコール千夜一夜物語 79話に登場します。しかし、これはW-NIKKOR・C 28mm F3.5になっています。おそらく、Cはコーティングがされていることを示していると思いますが、作例解説を読む限り、このレンズと同様の傾向です。このNikon-Sマウントモデルに、Cが付いていない理由は不明ですが、このモデルも同様にモノコーティングは施されていると思います。それは、この個体は状態が良くなく、フレア内に、コーティングの劣化に由来すると思われる傷があらわれるからです。
この、外爪のContax C(Nikon-S)マウントは、特に安価で流通するオールドレンズでは、頻繁にアダプターとの適合問題が発生します。
今回、この個体は通常流通価格の1/3以下で入手しましたが、マウントアダプターとの適合が不良であったため、OVERTURE PLA+ で、Nikon-S-L39マウントアダプターを用意して撮影を行いました。
撮影準備
3Dプリンター出力
L39-NEXマウントアダプター
今回は最短撮影距離3 feet(90 cm)を受け入れて、L39-NEXマウントアダプターを用います。
ヘリコイド付きマウントアダプター
パターン1 L39-LM + LM-NEX(マイクロヘリコイド付き) :L39をLeica Mマウントに変換する方法
L39-LMは各種類ありますが、どれを用いても変化がありません。
パターン2 M39-M42 + M42-M42(10-15mm)+M42-NEX(プレート) :M42ヘリコイドアダプターを用いる方法
パターン3 L39-LM + TECHART LM-EA9 :AF化する
撮影(作例)
開放では、周辺減光は派手に現れます。
最短撮影距離付近では、若干の樽形歪みがあるように思います。
絞っても、最短撮影距離の歪みは残ります。
F8まで絞っても、周辺光量落ちは残ります。
フレア&ゴーストが発生します。
ありがとうございました。