オールドレンズの魅力が詰まった1本
おすすめ度
購入のしやすさ 10/10
「オールドレンズ」というキーワードで、日本人の多くの人が最初に連想するのは、「スーパータクマー」だと思います。いわゆるスーパータクマー、Super-Takumar 50mm F1.4の魅力は幾つかありますが、そのうちの1つが、“驚くほど安価”であったことがあると思います。そのため、多くの人の宣伝を経て人気が出ました。現在Super-Takumar 50mm F1.4の価格は、かなり高騰しています。この観点から、Super-Takumar 50mm F1.4の魅力は、半減しているようにも思えます。
それと比べて、Super-Takumar 35mm F3.5は、現状では、まだまだ“驚くほど安価”な個体が販売されています。よく探せば(多少のメンテナンスを加えるだけで、)十分使用可能な、数百円の個体を見つけることが可能です。
使いやすさ 9/10
- 小型、軽量の35mmでM42マウントです。使いやすくないはずがありません。
- 最短撮影距離は0.45m表記で、やや長いようにも思えますが、実質上特に支障はありません。
- 最大の問題はマウントアダプターでしょう。このレンズは、M42マウントアダプターであればどれでも使用できる訳ではありません。
通常、マウントアダプター経由での使用を考えますが、このレンズは、ピン押し問題が発生します。「ピンを押さない」マウントアダプターを選択する必要があります。
「Mモード」にしても、ピンを押すマウントアダプターを用いてしまうと、絞り制御環を動かしても、絞りが開放から動かなくなります。
現代レンズと比較した描写の独自性 6/10
- 耐逆光性能は想像以上にあります。勿論、オールドレンズですので、真逆光では、フレア&ゴーストが出てきます。しかし、Super-Takumar 50mm F1.4の様な虹のゴーストは確認出来ません。
- 近接撮影すると、遠景に軽いぐるぐるボケが現れます。
- 周辺光量落ちは、近接付近で、やや認められますが、ほとんど気になりません。
- 若干の糸巻き型の歪みがありますが、通常では気になりません。
- Tessar × Retrofocus の無難な描写ですが、カリカリでシャープな解像は期待できません。
- 周辺の解像は特に緩くなりがちです。
総合 8/10
所有欲を満たすレンズではありません。描写は、よくある35mm画角のレトロフォーカス型です。しかし、“驚くほど安価”な個体が流通していますので、それらをチョイスして、メンテナンスを加えて楽しむ事も可能です。肩ひじ張らず、ガンガン使える使いやすいレンズです。
このモデル
言わずと知れた、アサヒ光学のTakumarです。Lens DB.comによると 35mm F3.5は、(F4も含めると)、以下の様に20年近くも販売されたロングセラーモデルです。
- 1957年~ TAKUMAR (F4)
- 1959年~ Auto-TAKUMAR
- 1962年~ Super-TAKUMAR
- 1971年~ Super-Multi-Coated TAKUMAR
- 1975年~ SMC Pentax
これらは、いずれも、Tessar型をレトロフォーカス化した、4群5枚のレンズ構成です。このうち、はじめて、全自動絞りを搭載したのがSupera-Takumaだそうです。「Takumar」一族における広角レンズの歴史によると、Supera-Takumarであっても、1962年~1964年までのモデルは最小絞がF22で、1964年以降のモデルは、最小絞りがF16に制限されているようです。このことから、この個体は最小絞りF16で、1964年以降のモデルであることが分かります。
撮影準備
M42マウントアダプターは2種類あります。SUPER-Takumarには、「ピンを押さない」M42マウントアダプターを選択する必要があります。
撮影(作例)
サイド光は耐えますが、真逆光ではゴーストフレアが現れます。
近接撮影すると、遠景に軽いぐるぐるボケが現れます。
ごく僅かな、周辺減光がありますが、ほとんど気になりません。
僅かに、樽形歪みがあるように見えますが、ほとんどの場合、気にならないと思います。
ありがとうございました。