巧くまとめられたトリプレット
おすすめ度
購入のしやすさ 3/10
人気のあるレンズではなく、無名に近いマイナーなレンズですので、価格は安めです。希少なM37 Takumar (Superではない)の中では、135mm F3.5と同じくらいに人気が少ないのではないでしょうか。販売当時、一眼レフ用交換レンズであっても、(中)望遠レンズの需要は少なかったと想像できます。現代の中古市場流通量は少なく、見つけるのが難しいレンズです。
使いやすさ 6/10
- M37ネジのフランジバック(M42)ですので、アダプター作製が必要です。
- ヘリコイドを回転させると、絞り環、先端のプリセット絞り環も回転するため、絞り値が分かりにくくなります。
- 開放でもピントの山が、やや不明瞭な傾向にあります。
- 最短撮影距離1.37m(4.5feet)は、現代の感覚からは長過ぎます。ヘリコイド付きアダプターが必要です。
- 細いですが、小型というほどではありません。その一方軽量(重量250g)で、長時間の手持ちにも疲れないレンズです。
- おそらく鏡筒の内面処理が甘いせいか、フレアが多発します。
現代レンズと比較した描写の独自性 6/10
- 線の太い描写です。
- ゴーストは出にくくなっていますが、フレアが発生します。
- フレア内では解像力が低下します。
- 遠景は、隙あらばぐるぐるボケが発生しそうになっています。
- 柔らかな二線ボケが表れますが、五月蠅すぎません。
- Cooke tripletを踏襲しつつも、ボケが暴れないように巧みにコントロールされています。
総合 4/10
古典レンズを踏襲したレンズ構成ですが、上手く制御されています。レンズの描写を考えると、同じトリプレットで、1957年以降に販売されたM42モデルの方が、M37ネジモデルよりも安価で使いやすいはずです。このレンズの鏡筒は、かなりの製造コストがかかっていることが想像できます。外観は所有欲を満たしてくれるものでしょう。M37ネジ規格にもロマンを感じます。このレンズを、真におすすめできるのは、Asahiflexや旭光学に思い入れのある人だけだと思います。
このモデル
Takumar 100mm F3.5は、3群3枚のトリプレット型です。このレンズは、M42規格になる前のM37ネジ規格の、Asahiflex用に開発された。交換レンズです。Asahiflex用のレンズは、LENS-DB.comによると以下が販売されたそうです。
- 50mm F3.5
- 58mm F2.4
- 83mm F1.9
- 100mm F3.5 (このレンズ)
- 135mm F3.5
- 500mm F5
LENS-DB.comによるとTakumar 100mm F3.5は1952年販売開始になっています。
撮影準備
3Dプリンター出力
M37-M42アダプター
Fusion360で、外周をM42×1ネジを、内周をM37×1ネジとしました。
M42マウントアダプターに連結させた時に、距離計指標が、180度ずれたりする場合がありますので、調整が必要です。
90°ずつずらしたものを作りました。
M37 to M42 v1(STL)
M37 to M42 v2(STL)
M37 to M42 v3(STL)
M37 to M42 v4(STL)
フランジバックは、Asahi-PEXTAX(M42 PRAKTICAマウント)と同じ45.5mmで、通常のM42マウントアダプターで無限遠が出ます。今回も、M42-NEX ヘリコイド付きアダプターを用いれば十分に寄れます。
撮影(作例)
線は太目で、ピントの山は不明瞭になりがちですが、絞り込むと描写は古典レンズからは脱却した描写です。
SUPER-Takumar 50mmのような、派手なゴーストは現れません。
しかし、鏡筒内面処理が原因なのか、フレアが発生しやすくなります。
トリプレット型と言えば、玉ボケですが、このレンズでも綺麗な円形ボケが現れます。
合焦面のやや遠景に、グルグルボケが発生しそうですが、発生せずに耐えています。
絞ると二線ボケが煩くなることがあります。
ありがとうございました。