Olympus E.Zuiko-T 80mm F4 (ACE)

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優秀な少量生産の最初期型

おすすめ度

購入のしやすさ 3/10

Olympus ACEのレンズ4種類は、既製マウントアダプターが販売されていないため、人気がありません。比較的、安価な価格で販売されています。このACEのレンズ群の中では、80mm F4とF5.6は、中古流通量が少なく、見つけ出すのが困難です。この二者では、より希少な80mm F4の方が安価です。過去6ヶ月のYahoo!オークションの取引履歴でも、2回しか取引がなされていません。 この安価な価格は、知名度の欠如と中古売買の実績の少なさ故の結果かも知れません。このレンズの購入における最大の困難は「発見できるか?」だと思います。

今回入手した価格は、次のようです。
35mm F2.8 > 80mm F5.6 > 80mm F4 > 45mm F2.8

使いやすさ 5/10

加点

  • マウントアダプターを含めても、非常に小型です。
  • 80mm F5.6 よりもやや大型ですが、軽量です。
  • 80mm F5.6 よりも、同じF値でも被写界深度が深い様に感じます。
  • ピントの山がわかりやすいレンズです。

減点

  • 市販マウントアダプターがありません。 何らかのものを用意する必要があります。
  • 最短撮影距離1.2mは、長めです。
  • ACEの仕様で、ヘリコイド回転角度が少なく制限されています。この間で1.2m~無限遠を制御します。精密なピント合わせは難しい仕様です。

現代レンズと比較した描写の独自性 5/10

  • 開放で、遠景にぐるぐるボケがあらわれる手前で巧く制御されています。
  • ボケは、ややオーバーコレクション~トータルコレクションです。
  • 前ボケは流渦巻きます。
  • 80mm F5.6 よりも僅かですが、開放でほんの少し四隅がケラレます。
  • 時々、虹ゴーストが発生します。

総合 7/10

マウントアダプターが無いため、万人向けではありません。しかし、マウントアダプターの製作は、比較的難易度が低めです。やや合焦操作が難易度高めですが、描写は美しいレンズです。明らかに、80mm F5.6 よりも、操作性、描写、希少性などにおいて優れています。安価で発見できれば、絶対に購入する価値のあるレンズです。

このモデル

Olympus ACEは、公式ページによると、1958年に販売されたレンズシャッターカメラです。

このカメラには、E.ZUIKO 45mm F2.8が標準で付属し、E.ZUIKO-W 35mm F2.8E.ZUIKO-T 80mm F5.6、80mm F4が交換レンズとして販売されていたようです。いずれもE.ZUIKOなので5枚というのは分かります。残念ながら、chanchentanさんが上げていただいた書籍の複写にも、E.ZUIKO-T 80mm F4の記載はありません。レンズ構成は不明のままです。

ここで、手元にある6本のOlympus ACE用のレンズのシリアル番号を見てみます。

E.ZUIKO-W 35mm F2.8 : 207,***  214,***
E.ZUIKO     45mm F2.8 : 134,***  158,***
E.ZUIKO-T  80mm F5.6 : 306,***
E.ZUIKO-T  80mm F4.0 : 100,***

その他、インターネット上で見つけた80mm F4.0 2本は共に101,***で、
80mm F5.6の最も若い番号が102,***で、その他は304,***306,***でした。

わずか3種類のレンジファインダー交換レンズ群で、同じ焦点距離(しかも、中望遠)のレンズのみ異なったF値のレンズを2本併売ししていたと考えるのは、無理があります。あくまでも製造番号からの想像ですが、Olympusは何らかの理由で、E.ZUIKO-T  80mm F4.0 の製造を早い時期に止めて、F5.6に変更したのだと思われます。

この様に推察すると、解せないことがあります。明らかに新しい(大きい)製造番号が付いている、80mm F5.6の方が、基本的な写りが悪い(四隅が大きくケラレる)ことです。
このF5.6に改悪されたのは、技術的あるいは製造コストの問題なのか、マーケティング戦略だったのか不明です。

このレンズの構成ですが、年代的には1963年発売のE.Zuiko Auto-T 100mm F3.5(エルノスター型)を、小型版にしている可能性を考えました。しかし、これは、PEN F用ですので35mmフォーマットでは144mm相当です。さらに、相当長いレンズなので、80mm F4にしても、コンパクトな鏡筒デザインには収まりそうにありません。

80mm F5.6フィルター系43mm鏡筒最大径49mmで,210gです。
80mm F4.0フィルター系52mm鏡筒最大径55.5mmなのに195gしか無いことは驚きです。

この80mm F4.0を購入した際に、最後尾のレンズ前縁と、その前側のレンズ後縁にカビが生えていたため、3カ所のマウントネジを外して、最後尾のレンズを外しました。その結果、最後尾レンズは非常に薄く、おそらく貼り合わせで無いようでした。加えて、1枚目も貼り合わせの無いレンズです。

この重量と、レンズの配置位置等から構成を推察してみると、おそらく、OM E.Zuiko Auto-T 100mm F2.8(1972年) に近い5群5枚のレンズ構成だと想像します。

撮影準備

マウントアダプター

3dプリンター出力

Parts1でフランジバックを11mm延長し、L39としました。

Parts2でレンズが外れないように固定します。これには、カニ目レンチが使える穴を開けています。

Parts3をねじ込むことで、確実に外れないように固定します。これには、カニ目レンチが使える穴を開けています。

これらは、OVERTURE PLA Plus (Professional) フィラメントを用いました。

これで無限遠が出ます。

L39-NEXマウントアダプター L39をLeica Mマウントに変換する

ヘリコイド付きマウントアダプター併用で1m位まで寄れます。

撮影(作例)

開放で、ぐるぐるボケがあらわれる直前です。うまく制御されています。

80mm F5.6 よりも僅かですが、開放でほんの少し四隅がケラレて、怪しさが出てきます。

ボケは、ややオーバーコレクション~トータルコレクションです。

前ボケは渦巻きます。

時々、虹のゴーストが出ます。

 

F5.6~8まで絞り込むと、十分シャープです。

ありがとうございました。

 

 

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