Nippon Kougaku NIKKOR-Q Auto 13.5cm F3.5

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渡航先から帰ってきたレンズ

おすすめ度

購入のしやすさ 9/10

価格は非常に安価で、数千円払えば良い状態のものが手に入ります。NIKONのオールドレンズの中では、格安です。

使いやすさ 5/10

135mmという焦点距離は、望遠というほどでもなくポートレートとしても長目です。重量はズシッと重く、現代レンズの軽量さに慣れていると、つらいところがあります。

現代レンズと比較した描写の独自性 7/10

分厚いレンズを通した、濃い色の絵画風の描写をしてくれます。これが古典的にも見えます。

総合 6/10

あえて、135mm F3.5のスペックを選ぶ明確な理由があれば、非常に良いレンズだと思います。

特に、ニコンのオールドレンズ好きなら、1本は持っておいても良いレンズだと思います。

 

モデル詳細

Nippon Kougaku NIKKOR-Q Auto F3.5 13.5cmのレンズ構成は、3群4枚で、中玉に分厚いガラスを用いた、Tele-Sonnarタイプです。上記構成図は、LENS-DB.COMに掲載されていたものを、トレースしたものです。

LENS-DB.COMによると1959年6月から販売されたモデルです。

Rolands Nikon Pagesによると、このモデルの、シリアル番号は720101から始まり、1959年中(774266~)にネジマウントへ変更されているみたいです。

 

この個体について

この個体は、PAT. PEND.と記載されており、ネジなしマウント、シリアル番号 “731***”なので、1959年6月から夏までに製造されたモデルでみたいです。

Wikipediaによると、昭和34年の夏は、日産がブルーバードを初販売した頃、伊勢湾台風の頃です。しかも、feet表記のみ(輸出仕様?)である。このレンズの初オーナーは、どの様な人で、どの様な写真を撮ったのでしょうか?

この個体は、東京のCamera ShopさんのHPで購入した。Camera Shopさんは、ヤフオクにも出品されているが、Webページも、ヤフオク出品でも、商品説明が的確で信用が出来ます。このレンズは、純正メタルフード付き、距離計にメートル表記なし(feet表記のみ)と説明されていました。価格は、送料込みで、音楽CD1枚分ほどの価格だったと記憶しています。

 

135mm

135mmは、オールドレンズの中でも、もっとも不人気な焦点距離だと思う(多分)。

確かに、絶妙に長すぎる(狭すぎる)ような気がする。85mmが人気なのも納得が出来ます。

その証拠に、非常に状態の良いものが、ヤフオクでは1000円~ゴロゴロ売られている。ちょっと、状態が悪かったら、500円を切りる。私も、かつて、送料別1円レンズを購入した経験があります。

しかし、現代レンズでは、135mmは看板商品の1つである。国産ブランドで単焦点135mm(もちろんAF)は、全て10万円を遙かに超える値札が付いています。

なぜ、オールドレンズ135mmは不人気(=お手頃)なのでしょう?

 

最短撮影距離を短くする

オールドレンズは、寄れないものが多いです。

「レンジファインダー用のレンズは、ファインダーとのズレが生じるため、寄れない様に設計されている。」と説明されることがあります。確かに一理ありますが、このレンズは、Fマウント(一眼レフ)用なのに、最短撮影距離は5 feet(約1.5m)です。このレンズの設計上、破綻をきたさない限界を設定したためなのでしょうか? それとも、マクロ用途を想定していなかったのでしょうか?

しかし、現代レンズの最短撮影距離70cm~や、スマートフォンがすぐに手に取れる状況から考えると、この最短撮影距離は、やはり使いにくいです。

ニッコール千夜一夜物語の第二十五夜で、“マイクロ写真とは、いわゆる複写・縮写を連想させるものでした。”とあります。つまり、マクロレンズ(ニコンではマイクロニッコール)は、ボケずシャープに解像するものだったのでしょう。

わざと近接撮影が出来ないようになっているとするならば、このレンズをマクロ用途で使うと、もしかすると美しいボケを味わえるかも知れません。

そこで、ヘリコイド付きマウントアダプターで解決を試みます。

 

多くのレンズでは、レンズ自体が前に出て行くと、近接撮影が可能になります(全群繰り出し

これを応用して、Nikon F → SONY Eマントアダプターでも良いのですが、別の手段を講じます。アダプター複数段作戦を試します。

私の知る限り、市販品でLeica Mマウントか、M42スクリュー(プラクチカマウントとは限らない)M52スクリューには、ヘリコイドが装備されている商品があります。

写真に詳しい先輩方は「全群繰り出し」というと眉をひそめる方も多いです。しかし、最も旧式の蛇腹式カメラは全群繰り出しであったし、エクステンションチューブ(マクロリング)も全群繰り出しです。さらには、Leica Mマウントを電動で前後させることで、AF化させるアダプターも存在します。

 

ヘリコイドアダプター

●全群繰り出し作戦1 Nikon F → Leica MLeica M→ SONY E

焦点工房からヘリコイド付きライカMマウントアダプターが販売されている。しかし、繰り出し量6mm(Pro)は、繰り出し量5mm(Lite)の2倍の価格になってしまいます。

この1ミリの差は大きいですが、いずれも高い買い物です。私は、無名ブランドのもっと安いヘリコイドアダプターを2年使用したが、大きな問題に遭遇していません。ただし、繰り出し量は5mmです。

●全群繰り出し作戦2 Nikon F → M42(非プラクチカマウント10mm)M42 → M42(17~31mm)M42 → SONY E(1mm)

オールドレンズに詳しい人は、M42と聞くとSuper-Takumarを連想し、M42スクリューマウント(プラクチカマウント)と、頭の中で置換してしまう癖があります。

M42を普及させたPrakticaの功績は大きいですが、正確にはM42はネジ規格で、カメラレンズに使われているM42は、M42×1、直径が42mm・ピッチ1mmのものです。

Nikon Fマウントカメラは、学術用にも多く使用されており、顕微鏡や望遠鏡に適合させるため、Nikon F → M42(非プラクチカマウント10mm)が販売されています。

M42 → M42(17~31mm)は、非常に多くの種類が販売されている(どれも、大差なく良品と思います)。

M42 → SONY E(1mm)は、非常に安く売られてます。

 

結 果

作戦1で、5mm繰り出すと、最短撮影距離を約20cm程縮めることが出来ました

さらに作戦2では、14mm繰り出すと、最短撮影距離 約70cmとなりました!!

このレンズは、中望遠レンズで、レンズのヘリコイド移動量も多いです(∞~最短まで8mm)。

今回のレンズでは、作戦1は余り寄れない組合せでしたが、少し繰り出しただけで大きく撮影距離が変化するレンズも多く存在します。

ですから、作戦1はレンズによっては十分な場合もあります。加えて、ライカMマウントは、M42と並ぶ、大変汎用性のあるマウントだと思います。

最短撮影距離約70cmの撮影例(開放F3.5) 左の水滴にピントを合わせています。

 

撮影(作例)

現行レンズの開放F3.5は、キットのズームレンズのスペックですね。しかし、ウチのワン(M.ダックス)は、ドッグランでは予測困難な動きをするため(撮影テクニックが無いため)、今回は135mmなので、F 5.6からF11まで絞って、被写界深度を深くして使いました。

それでもピントが外れる(笑)。これも、MFレンズならではの醍醐味でしょうか?

 

シャッター速度1/640、ISOはAUTOで、640~40000まで変動していました。分厚いレンズを通した、こってりした色が特徴の、楽しいレンズです。

この様な表現をするレンズは、私は大好きなのですが、ブラック&タンの犬には、結構厳しいものがあります。

このレンズの色表現は、至ってナチュラルなのですが、室内ドッグランは人工芝が外光を反射して、下から緑の光があたるという環境でした。RAW現像が大変です。

今日は、あいにくの雪~雨でした。近くの室内ドッグランで、パグちゃんに遊んでもらいました。

表情豊かな、かわいいパグちゃんでした。ありがとう、パグちゃん。

3月下旬なのに、東北の春は、まだですね・・・。

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