レトロフォーカスの75mm
おすすめ度
購入のしやすさ 8/10
ペンタックス6×7のレンズとしては、望遠~超望遠を除けば、最も安いレンズです。標準レンズで、流通量も多く入手しやすくなります。
使いやすさ 2/10
- ピントの山はつかみやすいレンズです。
- 大きさ、重さがネックです。重量は600gですが、P67-EOSマウントアダプターが145gあり、それがボディーから離れた場所に位置するため、重く感じます。
- 操作はレトロフォーカスレンズらしく、合焦のためのヘリコイド移動量は少なくなります。
現代レンズと比較した描写の独自性 4/10
35mmフルサイズセンサーではレンズの中心部分のみを使います。
- 収差は皆無です。(減点要素)
- スーパーマルチコートの恩恵で、ハイコントラストな写りのレンズです。(減点要素です)
- 線は太めの描写です。
- オールドレンズらしい、柔らかい絵が出てきます。
- フィルム写真様の色合いが、顔をのぞかせます。
総合 3/10
このレンズは、確かにペンタックス6×7のレンズとしては、お手頃価格です。しかし、35mmセンサーの、中望遠画角の中古MFレンズとして、驚くほど安価なわけではなく、また明るいレンズではありません。もっとも、35mmフルサイズセンサーで使用すると、収差も全く生じない優秀なレンズですが、それを求めるならば、最新型キットズームレンズの中古を購入し、ソフトで補正した方が幸せになれます。マウントアダプターを含めると、かなり大型になります。オールドレンズの写りを期待して購入することは、あまりおすすめできません。地味なスペックですが、使えば使うほどに、じわじわと良さが感じられる、味のあるレンズです。
このモデルについて
Camera-wikiによると、Pentax 6×7用レンズで、Super-Multi-Coated Takumarと記載されるレンズは、1971年~1980年代まで製造されていました。1980年以降は、SMC Takumarに変更されます。
Super-Multi-Coated Takumarには、以下の14本があります。
- Super-Multi-Coated Fisheye-TAKUMAR 6×7 35mm F4.5
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 55mm F3.5
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 75mm F4.5
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 90mm F2.8
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 105mm F2.4
- Super-Multi-Coated Macro-TAKUMAR 6×7 135mm F4
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 150mm F2.8
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 165mm F2.8
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 200mm F4
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 300mm F4
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 400mm F4
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 500mm F5.6
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 600mm F4
- Super-Multi-Coated TAKUMAR 6×7 800mm F4
75mm F4.5は、LENS-DB.comによると4群5枚のTessar型の前に大きな凹レンズを備えた、レトロフォーカス型です。
6×7フィルムで75mmは、35mm判換算では37mm相当ですので、レトロフォーカス型は妥当なレンズ構成です。
レトロフォーカス型ですので、前玉が非常に大きく、フィルター径は82mmです。35mm判で考えると、75mmレンズで、レトロフォーカス型のフィルター径82mmは、かなり異常なことです。
今回は35mmセンサーを使いますので、レンズ中心部だけの評価となり、オールドレンズらしい周辺減光などは認められないでしょう。しかし、レトロフォーカス型レンズを中望遠域でつかうと、どうなるのか?疑問がつきません。
この個体
この個体は、ヤフオクで4千円程度で購入しました。フロントレンズキャップとリアキャップを備えた個体でした。光学系はカビ、くもりがなく良好な状態でした。動作も完全な状態でした。鏡筒の外装は状態が悪く、相当使い込まれた外観でした。今は懐かしいエンボステープでNo. XXXという分類シールが貼ってありましたので、写真館か報道で使用していたものが、流れて私の手元にやってきたのだと思います。
マウントアダプター
LM-NEXでカメラに連結しました。
P67はフランジバックが長く、全体が非常に大きなシステムになります。
撮影(作例)
今日もドックランにいきました。
写りは、オールドレンズらしい柔らかいタッチです。
お友達のパグちゃんに遊んでもらえました。
すっきりとした、抜け感があります。
滲みも少なく、現代レンズに近い描写ですが、カリカリではありません。
お友達のトイプードルくんを挑発してます。
怒られてしまいました。
追っかけられています。
流石に逃げ切れません。脚の長さ、かないません。
この色のでかたは、フィルムカメラ時代のものですね。1970年代らしい色合いです。ペンタックスのスーパーマルチコートの恩恵でしょうか?
開放ではボケも美しいです。
マウントアダプターのヘリコイドを使わなくとも、オリジナルの最短撮影距離は、0.7mです。近接撮影もある程度こなせます。
ありがとうございました。