DALLMEYER LONDON STIGMATIC SeriesⅡ No4 190mm F6

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明治時代に英吉利で製造された、万能鏡玉

おすすめ度

購入のしやすさ 2/10

STIGMATIC SerⅡ No4は、シリーズの中では、最も流通量が多いですが、それでも少なく、状態が良いものは高価すぎます。

使いやすさ 2/10

190mmという焦点距離は、35mmフォーマット(フルサイズセンサー)で使うには長すぎます。気軽に持ち出すのは躊躇します。しかしピントの山は、比較的つかみやすいレンズです。今回3dプリンターで、鏡筒をPLAで出力しましたが、内部を15%の充填率にすると非常にバランスが良く、2時間持っていて疲れることはありませんでした。ヘリコイドは市販品を使うと、移動量が多いため、ピント調節が大変です。

現代レンズと比較した描写の独自性 3/10

  • 自作フードを外すと、確実に、ハレーションの海に溺れます(加点要素です)。
  • フードの中で斜光を遮ると、しっとりとした色のりと、優しい上品な描写をします。
  • 残念なのは、ボケは暴れません(35mmフォーマットで中心部だけを使っているからかも知れません)。

総合 1/10

今回私が購入した個体は、市場価格と比較して異常なほどの、超低価格でしたので、コストパフォーマンスが優れています。しかし、焦点距離が190mmであること、良好な状態の個体(高価な個体)の購入をして、簡単にカメラに連結できないことを考えると、おすすめはできません。

 

モデル詳細

DallmeyerのStigmatic は、Series Ⅰ~Ⅳが販売されました。

Series Iはソフトフォーカスで3群6枚、Series IIは、最も古い設計で3群5枚、Series IIIとIIIaは3群4枚、SeriesⅣも3群4枚です。当時のカタログ(六櫻社さんが、当時の日本語パンフレットを掲載していただいています(感謝))によると、Series IIはNo2~4,6~8まであり、以下の焦点距離で、全てF6です。

    • No2  5.3インチ  135mm
    • No3  6.4インチ  160mm
    • No4  7.6インチ  190mm
    • No6  10.7インチ  270mm
    • No7  12.7インチ  320mm
    • No8  15.1インチ  380mm

カタログでは、No4はキャビネ判用ですので、4×5インチよりも大きいイメージサークルであることがわかります。

本レンズはウォーターハウス式の絞りでは無く、虹彩絞りです。また、バレルレンズ

この個体

このレンズは、カビと汚れがあるとのことで、ヤフオクに出品されており、誰も入札が無く、わずか数千円で購入できました。DALLMEYERは、世界的に人気で、製造数が少ないため、通常の状態のものであれば、確実に10万円以上の値札が付いています。これは非常にラッキーでした。「カビ」はバルサム切れで、汚れは35mmのイメージサークル外であり、かつカシメ玉であるため、放置しました。製造番号は92,***ですので、1910年頃の製造だと推察されます。

撮影準備

鏡筒&ヘリコイド

フランジバックをM42にするために、約130mmの回転式ヘリコイドを作成しました。

当初、M52-M42、M42-M42、M42-NEXヘリコイドを連結したり、M42-M42ベローズを連結したりして使用していました。しかし、ピント調整のための移動量が多く、動体撮影には向いていないため、下のようなモデルを出力しました。これをM42-NEXヘリコイドアダプターに接続することで、快適にピント調整が可能になりました。

構成要素1 レンズ連結部

STL レンズ連結部

構成要素2 壁面部

STL レンズ連結部

構成要素3 ストッパー

繰り出して落下しないようにするためのストッパ

STL ストッパー

構成要素4 M42連結部

STL M42連結部

M42-NEXヘリコイド付きマウントアダプターに連結します。

フード&フロントキャップ

レンズフード

STL レンズフード

レンズキャップ

STL フロントレンズキャップ

内面処理

3Dプリンター出力品の内面は、アクリル塗料(ターナー色彩 アクリルガッシュ 暗黒ブラックの塗布を行いました。

この塗布には、筆を用いるよりもキムワイプか、ケイドライが向いていると思います。

撮影(作例)

緑が強く出てくるレンズです。

今日もお散歩です。

いつものドッグランでジャーマンピンシャー君とご挨拶です。

ベンチに乗って同じ目線です。

霞がかかります。これも味ですね。

他のワンちゃんに怒られました。

黒がつぶれ気味です。

お友達のダックス君に遊んでもらいました。

みんな、ありがとうございます。

低コントラストですが、優しい写りのレンズです。

別の公園に来ました。

大きなフォーマットの中心部分を使っているということもありますが、収差は少なめです。

カラーフィルムが無かった時代のレンズとは思えない、色の描写です。

確かに、当時の広告通り、万能魔鏡ですね。

藤棚の藤が咲き始めています。

サボテンの花が綺麗でした。

もう帰りましょう。

今日もありがとうございました。

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