Canon FL 50mm F1.8

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最安値で購入可能な、典型的ダブルガウスの実力作

おすすめ度

購入のしやすさ 10/10

非常に安価で、玉数も多く、かつマウントアダプター問題(後述)があり、人気薄のため、驚きの安値(数百円~)で取引されています。さらには、上位のFL 50mm F1.4も相当安価ですので、F1.8は価格が付かないという状況もあります。

使いやすさ 8/10

小型で使いやすいレンズです。減点ポイントは2つです。①今回のものは、Ⅰ型(前期型)で絞りのプリセット機構のモデルですが、使用にクセがあり、使いにくいです。絞り値を変更しても、絞り値は直ちに反映されません。プリセットリングをスライドさせて、初めて反映されます。このプリセットリングをスライド量が少なく、感触が少なく、開放なのか絞り込んでいるのか、分かりにくいです。購入に当たっては、前期と後期で価格差がありませんので、使い勝手の良いⅡ型(後期型)をおすすめします。②FL専用のマウントアダプターの用意が必要になります。Ⅱ型(後期型)の通常絞りモデルを選択すると、①は解消されます。さらに、FDマウントアダプターによっては、そのまま使用可能との情報もあります。もし①②が解消されれば、「使いやすさ 10/10」と思います。

現代レンズと比較した描写の独自性 8/10

典型的なダブルガウス型の設計です。開放では非常に柔らかく、線が細い、非常に美し描写です。また、ハレージョンも発生します。ダブルガウス型の影響で、当然ながら、ぐるぐるします。F 5.6まで絞ってもぐるぐるします。前期型の初期モデルで、Thoriumが使われている、いわゆる放射能レンズで、黄変があります。これは、急に日陰に入ると、オートホワイトバランスを惑わせ、寒色系に染まります。

総合 9/10

圧倒的なコストパフォーマンス、オールドレンズの側面と、絞った時の解像力を考えると、非常におすすめなモデルです。

 

モデル詳細

Canon FXの販売開始に合わせて、販売された交換レンズの1つで、1964年3月から販売されました。1968年から、プリセット絞りを無くしたⅡ型にマイナーチェンジが行われました。Ⅰ型の中でも、比較的初期のロットには、トリウムレンズが使用されています。Ⅰ型もⅡ型もレンズ構成は、4群6枚のダブルガウス型で、構成図に変わりはありません。最短撮影距離は0.6mで、少し長めです。標準領域のFLレンズ群には、FL 50mm F1.4とFL 58mm F1.2(もしくは55mm F1.2)が上位モデルとして存在します。50mm F1.8は普及モデルであったと予想されます。

この図は、LENS-DB.comに収録されていたものをトレースしたものです。

この個体について

この個体は、ヤフオク経由で送料込、千数百円で購入しました。多少のカビがありましたが、分解清掃で、使用可能な状態になりました。シリアルNOは29,***で、プリセット絞りのⅠ型です。さらに、トリウムレンズが使用されており、若干の黄変が見られます。特にⅠ型は、下の様に、マウント面が平坦では無く、段差が付いています。この段差により、多くの市販FDマウントアダプターと、適合しません(一部適合するものがあるみたいです)。専用FLマウントアダプターが必要です。

撮影準備

FLマウントアダプター

FDマウントアダプターはカメラ側(マウントアダプター側)から絞り制御が出来る様になっており、絞りノブを移動するために、マウントアダプターに棒や板があり、これがマウント面に出てきています。これを外す、もしくは折って取り払うだけです。私は、中華製の最も安い、FDマウントアダプターを購入し、ペンチで数回曲げただけで切れて外せました。当然、FDマウントアダプターとしては機能しませんので、以降はFL専用になります。FLレンズは種類も豊富ですし、FDレンズに比べ人気薄で安価なものが多いため、FL専用に投資する価値はあると思います。

リアキャップ

市販のFDレンズ用リアキャップが適合します。

カメラへの接続

FL-LM、LM-NEX(ヘリコイド付き)を用い、カメラに接続しました。5mmヘリコイドを繰り出すと、最短撮影距離30cmとなり、まずまずの使い勝手になります。

撮影

このレンズ、開放では、ダブルガウス型の典型「ぐるぐる」します。また、アンダー部の描写は、しっとりしています。

開放では線が細く、光が多いと本当に優しい描写になります。

黄変のせいか、急にホワイトバランスが崩れて、青色かぶりが激しくなります。

今日は、近所の公園にお散歩に出かけました。

少し絞っても、ぐるぐるボケが出ます。

いつもお会いするゴールデンちゃん。優しい笑顔です。

きょうも、いっぱいご挨拶出来ました。

開放は、芯があってもフワフワな描写です。

F8以上に絞り込むと、コントラストが高く、キリッとシャープな描写になります。

良い意味で、ダブルガウス型の特徴が出てます。

ぐるぐるボケの写真は、トリミングには不向きですね。

ありがとうございました。

 

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