Voigtländer DYNARET 100mm F4.8

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デッケルマウントの元祖、VITESSA Tのラインナップ

おすすめ度

購入のしやすさ 7/10

全体の流通量は、少ないです。しかし、VITESSA Tの交換レンズ(結合可能なBraun Super Colorette用を除く)4本のうちでは、Super-Dynaretと同じくらい、最も市場で流通しているモデルです。また、通常のDKLマウントレンズは、比較的人気が無いレンズですが、VITESSA Tマウントは、さらに人気がありません。今回購入したのは、非常に安価でしたが、時々、驚きの低価格個体が存在します。

使いやすさ 4/10

操作感は、非常に良いレンズです。若干、ピントの山がつかみにくい点と、絞りにクリック感が無いのが減点要素ですが、小型で持ち運びしやすい、非常に良いレンズです。ではなぜ、点数が低いのか?-非常に大きな減点ポイントは、いわゆる「DKLマウント」と互換性がないため、専用のマウントを用意しなくてはいけない点です。この点も含め、Voigtländerらしさが現れているモデルです。

現代レンズと比較した描写の独自性 7/10

ハレーションは出にくいですが、出ると、一気に画面いっぱい覆われます。開放で、白色が滲み、線の細さと相まって、幻想的な写りをします。絞ると、柔らかさは維持したまま、ハイコントラストな描写をします。少しボケは、うるさいです。「これぞオールドレンズ」という明確な特徴はありませんが、明らかに現代レンズには無い、優しい描画をしますが、決して、その描画から古くささは感じません。現代におけるオールドレンズとして評価する場合、バランスの取れた優等生です。

総合 5/10

描写、扱いやすさ、VoigtländerのネームバリューとDKLマウントの源流である(コレクター的目線)点など、おすすめ度は高いです。非常に安価な個体が見つかれば、ラッキーです。しかし、市販品で安価なVITESSA Tマウントアダプターの調達が困難ですので、総合評価を低くしました。

 

モデル詳細

このレンズは、1956年から販売されたカメラ、Voigtländer VITESSA Tの交換レンズとして販売されました。Voigtländerから販売された、VITESSA T用の交換レンズは、Color-Skopar 50mm F2.8, Skoparet 35mm F3.4, Super-Dynaret 135mm F4と、このDynaret 100mm F4.8 の4本です。VITESSA Tは、Bruns & Deckel社製シャッターに適合するバヨネットマウント(デッケルマウント)を備えていました。これに適合するレンズは、デッケルマウントレンズになりますが、現在DKLマウントと呼ばれるマウントとは、形状は同じですが、互換性がありません(DKLマウントアダプターが適合しません)。それは、VITESSA Tマウントレンズは、レンズ側から絞り制御可能でが、DKLマウントはカメラ側(マウントアダプター側)から制御します。

この個体について

当初、DKLマウントのDynarex 100mm F4.8を物色していましたが、流通量が少なく、高価でした。そんな折り、たまたまヤフオクで、「カビがあり」の個体を見つけました。競合入札者はいましたが伸びずに、2千円以下という非常に安価で入手できました。シリアル番号は、4,3**,***1957ですので、Camera-wiki.orgによると、1957年製になります。この個体には、純正品のフロントキャップと、(恐らく純正品の)金属製リアキャップがつきてきました。フランジ面に両面テープの糊の跡が残っていましたので、おそらく前所有者はマウントアダプターを購入せず、何らかの方法で、カメラへ連結したのでしょう。

 

撮影準備

マウントアダプター

高価ですが、ebay等で、中華製VITESSA Tマウントアダプターは、Nikon F用とCanon EF用が流通しています。私は、Voigtländerから販売された、VITESSA T用の残り3本のレンズは、DKLマウント用として、すでに所有しているため、余り興味がありませんでした。ですので、マウントアダプターを購入せず、「とりあえずフランジバック調節をして、撮影できれば良い」と思い、設計し、3Dプリンターで出力しました。ロック機構は付いていませんが、数回の近場の撮影は、十分耐えました。

VITESSA T-M42マウントアダプター

しかし、使用しているうちに、本レンズの魅力を感じ、金属製(Nikon F用)をebay出品者(中国)から、購入しました。商品が到着するまでの数日間は、十分に自作マウントアダプターで楽しめました。

レンズリアキャップ

今回購入したレンズには、リアキャップが付属していました。しかし、この耐久性が未知数なことと、紛失した場合の対策として、マウントアダプターを改変して、リアキャップを出力しました。

VITESSA T Cap

VITESSA Tマウント-NF, NF-M42, M42-M42(ヘリコイド), M42-NEX(プレート)で撮影します。

撮影

このレンズの開放の描写素晴らしいです。線が細く、ピントが少し外れたあたりの柔らかさはたまりません。

開放での白色の滲みも、味わい深いです。ただ残念なことに、ピントの山が見えにくく、動体撮影で開放は厳しいものがあります。

ドッグランで、柴ワンちゃんに遊んでもらいました。

少し絞ると、使いやすいレンズになります。

おなじブラタンのダックス君に会えました。

絞っても、基本的な柔らかさは残ります。

この状態では、後ろボケが煩いです。

別の日のお散歩です。

たくさんのワンちゃんにあえて大満足でした。

 

ありがとうございました。

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